異文化ガイド

異文化について、英語、フランス語について書いています。フランス、ベルギーで15年以上暮らし、出会った人、見聞きしたこと、考えたこと。

2019年06月

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ヨーロッパに住んでいた時、国際結婚のカップルとその子どもたちに大勢出会った。
ヨーロッパの別の国同士、北米、南米、アフリカなど。
その子どもたちは、成人した後も母親の国籍と父親の国籍の両方を持っていた。

カップルの一人が日本人の場合はそうはいかない。
日本は原則として複数の国籍を認めていないが、親が申請すれば、子どもたちは22歳までは二つの国籍を持つことができる。
そのあとはどちらかを選ぶよう迫られる。
日本以外にも複数の国籍を認めない国はあるが、下を見ればキリがない。

ヨーロッパには、二つどころか国籍をたくさん持っている人もいる。
「今度の旅ではどのパスポートを持っていくのがいいかな」と思案する。

中には国籍を一つも持っていない人もいる。
日本でも国籍どころか戸籍も持っていない人がいて、その救済策が急がれるところだが、それとはまた別のケースである。

国籍を持たないことを選んでいる人たちがいるのだ。例えば、東欧出身のあるアーティスト。
政治動乱を逃れてフランスにやってきた。フランス政府は国籍を与えると言っているのだが、そんなものは要らないと言う。

ある国家から命からがら逃げてきて、また別の国家に入りたいとは思わないのだろう。
国家というものはどうも信用できない、それが彼女の偽らざる実感なのだ。仕事でフランスから出る時は、一々役所で証書を書いてもらう。面倒ではあろうが、その面倒なことを一々してでも国籍など持ちたくないらしい。国籍を持たないことに近いのは、恐らく多くの国籍を持つことではないか。角を増やせば増やすほど図形が円に近づくのに似ている。
円で完璧をイメージしているわけではない。
完璧な自由なんて存在しないから。

ただ、国籍を持てば持つほど、可能性は広がるのだと思う。


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日本でも液体ミルクが解禁となり、待ち望んでいた方々にはまたとない朗報だ。

液体ミルクに関する報道で私が不思議でならないのは、値段の話が一切出てこないことである。

我が家では子どもが幼かった頃フランスに住んでいて、母乳+粉ミルクで育てていた。
フランスでは近所のスーパーで液体ミルクも売っていたけれど、殆どの人が粉ミルクを買っていた。
フランス人は一般に倹約家が多いので、値段がネックになっていたと思う。

液体ミルクのもう一つの問題は、狭いアパートやマンションでは置き場に困るということ。
更に、買い物をする時、重い。

最後の問題は配達してもらえば済むが。

日本では粉ミルクを作る時、一々水道水を煮沸してから冷ましている人が殆どなので一層手間がかかるのだと思う。

今から10年以上前のことで、今どうなっているか知らないけれど、フランスでは瓶詰めの水を買って哺乳瓶に入れ、湯煎で人肌に温めてから赤ちゃんにあげる人が多かった。

瓶詰めの水も重いが、家族みんなが使えるという利点がある。

因みに、電子レンジで温めるのは衛生上問題があるとされていた。
鍋は使う度に洗うが、電子レンジを使う度に掃除する人は少ない。

フランスの赤ちゃんも硬水を飲ませたら当然お腹をこわす。
赤ちゃんに飲ませても大丈夫なのはいわゆる天然水か、ミネラルウォーターの中でもエヴィアンやボルヴィックなどミネラル分が少ない水と決まっていた。
エヴィアンの瓶には赤ちゃんマークも付いていた。
一方、ヴィッテルなどは消化しにくいので赤ちゃんには向かない。
赤ちゃんがひどい便秘をした時は、ヴィッテルを少し軟水に混ぜて飲ませている人も多かった。

災害の時や預かってもらう時など、液体ミルクが便利なことも確かに多いだろう。

利点と不利な点を冷静に比べ、少し試してみたりしながら、各自の事情に合ったものを選ぶのが一番。
選択肢が増えたことは良いことに違いない。


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高校受験で推薦を取るためには、もちろん中学校の成績表が良くな
くてはならない。
「良い」の基準は当然学校によって違う。

偏差値の高い高校なら、ほぼオール5(10段階評価ならオール10)という数字が要求される。
ただ、英検や漢検、部活などで補うことも出来るので、学校の成績だけで足りなくても条件をクリアする道はある。

偏差値がそこまで高くない高校なら、5が無くても条件をクリアできる。
しかし、合計点だけで決まるわけではない。
東京都の多くの私立高校では、2以下が一つでもあったら合計点が基準に達していても推薦は受けられない。

一方、5が最低一つは必要だとか、5に関する条件は見たことがない。

つまり、オール3の生徒の方が、5が二つで2が一つの生徒よりもチャンスがあるということである。

全てをそつなくこなすという人材も社会には確かに必要なのかもしれない。
しかし、そのような人々ばかりが優遇されるようになったら、その社会は衰えるだろう。

5があったら1があっても相殺されるとか、何でもいいから5が一つ以上ある子が欲しい、という高校が見当たらないのはなぜだろう?
高校によってもっと特色があっていいはずだ。
うちは理系で5がある子を求む、とか、うちは芸術科目で5が一つあれば良い、とか、うちは文系、うちは体育、などなど。

理系の高校では、理系科目の成績は2倍にして計算するというところも実際にあるようだが、理系に二つ5があれば他の成績は見ない、というわけではないらしい。

専門バカになってはいけないけれど、まだ15歳である。
何か突出したものを持っている生徒を集めて育てる、という考えの高校が一つ二つあってもいいではないか

少子化の時代、生徒を集めるのに苦労しているところも少なくない。
学校の特色が顕著なら全国から生徒が集まる可能性もある。
うちの子を生かしてくれるのはこの学校しかない、と思った親は引っ越しも厭わないだろう。


「個性を尊重する」と謳っている学校が、2のある子は5がいくつあってもダメだという理由がわからない。
さっぱり。


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