異文化ガイド

異文化について、英語、フランス語について書いています。フランス、ベルギーで15年以上暮らし、出会った人、見聞きしたこと、考えたこと。

カテゴリ:日本のニュースから > 海外の反応

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ハラスメントはそれだけでも恐ろしいものだが、「二次被害」というものが存在するのは異常だと言わねばなるまい。

被害者が責められ、更に苦しまなければならない法はない。

もちろんどんな罪にも冤罪というものはあり、告発された側にも弁明する権利はある。

圧力によってではなく、正当な方法で弁明するならば。

セクハラの告発でなくとも、告発者は圧力を受けることがある。

通常圧力をかけるのは告発が都合悪い人たちで卑劣極まるわけだが、セクハラや性犯罪の場合は何の関係もない公衆が二次被害の加害者となることがある。

異常そのものだ。

自分が将来起こすかもしれない、あるいは過去に起こしたハラスメントや犯罪の恥を被害者におっかぶせようとする心理が働くのか。

男女を問わず、二次被害の加害者、あるいは共犯者になることがあるのかもしれない。

財務省の福田淳一事務次官セクハラ問題を報じるニューヨークタイムズ紙にはこんなくだりがあった。

日本では被害者は非難されることを恐れて公言しないことが多い。女性記者のアイデンティティは伏せられている。」

アメリカでもフランスでも被害者が個人名で裁判に訴えることができるのは、二次被害という現象がないか少ないからだろう。

フランスの保守系新聞ルフィガロもこの事件を伝え、被害者の名前が伏せられていること、財務省が被害者に対して弁護士事務所に名乗り出るよう求めたことを付け加えている。
 
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舞鶴場所で市長が倒れ、救助に駆け付けた看護師に「土俵から降りてください」と呼び掛けた相撲のアナウンス担当の行司の話。
もちろんすでに世界を駆け巡っている。

ニューヨークタイムズには八角理事長が看護師に感謝し、相撲協会として謝罪した話もちゃんと載っている。

SNSで行司のアナウンスに非難が殺到したことも。

「妊娠順」のことにも同じ記事の中で触れている。

フランスのリベラシオン紙の取り上げ方はあまり大きくないが、理事長の謝罪の件は載っている。

ワシントンポストは、相撲界では女性は穢れた存在だと考えられているとある。

ニューヨークタイムズは相撲の歴史についてもかなり紙面をさき、歴史上は女性の力士や行司も存在したことに触れている。

このような事件は人々の関心を引くので、これからもっと多くのメディアに広がるのだろう。

不適切なアナウンスについてはすでに多くのことが言われている。

私が脱帽したのは、市長の命を助けた看護師の方々のプロ意識と倫理観だ。

事件の映像を見ると、アナウンスを聞いて反応するように見えた女性もいる。
が、真っ先に駆け付けた女性は手当を続けていたようだし、戸惑いを見せた女性たちも担架が到着するまでその場を去らなかった。

さすがは非常事態に馴れた職業人だけのことはある。
他の人が不適切なことを口走っても、自分は何をするべきかという判断を誤らない。
本人は「当たり前のことをしただけ。」と感謝状を固辞、そっとしておいてほしいとのことである。


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