フランスに住んでいた頃、夏休みに家族連れで日本に来たこともありました。
今から十年くらい前、大きな水族館に子どもを連れて行ったときの出来事です。
入り口に入ったら、いきなり知らない女性に勝手に写真を撮られました。
その若い女性は派手なコスチュームを着ていて、水族館に雇われているということがわかりました。
で、今の写真は出口に張り出される、買うか買わないかは自由だ、と。
ちょっと待ってください。
子どもも写っているんです。
「買わない場合はどうなるのですか。」と聞くと、廃棄するとのことでした。
水族館自体はいろいろ工夫していてそれなりに楽しかったのですが、今となって覚えているのは主にその写真のこと。
フランス人の夫は怒るかもしれない、と思いましたが、仕方ないと思っている様子でした。
出口に来ると、他の家族の写真と一緒に私たちの写真もありました。
もし私の両親が一緒だったら、きっと買ったことでしょう。
両親は当時すでに高齢で、大きな水族館には一緒に来ませんでした。
子どもが写っている写真がそのまま捨てられるのを思うと胸が痛みました。
そもそも、本当に捨ててくれるかどうか証拠もありません。
心配だから買ってしまうという人も多いと思います。
デジタル写真ではなく、ポラロイドみたいなものだったと思います。
つまり、ネガは無いということだったか。
余計なものにお金を払わない夫が買うはずはありませんでした。
押し売りをされて私もさすがに嫌な気分でした。
個人情報ということに今ほど人が神経質ではない時代でした。まさか今でもやっているとは思いませんが。
近所のお家に行ったら、同じ水族館の家族写真が飾ってありました。お孫さんがいる方で、まだお若いので一緒に行ったのですね。祖父母が一緒だったらきっと買ってしまうでしょう。
チケットも高かったし、売店もあったけれど、それでは足りないということなのかな。
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